『MILO』に見えるビールの販売とパッケージ表記
8/22(日)、昨日ワクチンを打ちまして日曜なのに一日ベッドに沈んでいたJimです。体調が悪いと何もする気が起きず、好きなお酒すら飲もうと思えないんですが、ビールのパッケージについて気になるニュースを見かけましたので考えをまとめるためにも書き始めました。(当日投稿できず、月曜に投稿します。)
まだ熱が引きてなくて、いつまでたっても引かないので書き始めたわけですが、頭痛も吐き気ものどの痛みもなくて、体の節々が凝ってるのと、だるいなぁと思ってはいますがなんとか熱が引いてくれたらと思っています。
今回書いていくことは先ほども書きましたがビールのパッケージに関するネット記事に対する感想です。ビールのパッケージ表記については前々から気になっていて、この度外国ではありますがパッケージについての社会問題が発生しているためそれについて私の考えを書きたくて筆を起こしました。今回も個人的な見解多めですけど良かったら見て行ってください。
世界的なドリンク『MILO』のロゴに似せた? ビールのパッケージについて
ネット記事には、ミロに似ているロゴを使用したビールを販売したブルワリーがガイドライン違反として広告、宣伝を禁止するよう通知を受け、また同製品のパッケージの使用を停止するよう指示を受けた、とありました。
この問題は オーストラリアでMILOに似たパッケージのビールが販売されたことに始まります。 当製品を幼児が誤って飲んだとの苦情をもとに オーストラリアの酒類広告規約団体によって調査が行われ、問題として取り上げられました。
ブルワリー側の意見としては、”当商品は子供向けではなくまた子供の飲酒を助長するものではないと思っている”、”親が子供に説明すれば発生しなかったはずだ”とし、また “一人のクレームで製品全体のデザインを狂わせてしまうのは不公平であり、そういった声が製品名や外観、マーケティングを変える権力があるだろうか”といった疑問を投げかける文言が書かれてありました。
参考ニュース:https://news.livedoor.com/article/detail/20703322/
この記事にはブルワリーが意図的にミロのパッケージをまねたかどうかについては言及されていませんでしたが、以前にもスプライトに似たロゴを使用したパッケージのビールを販売したりしているため、意図的似せたものであると仮定して話を進めます。
お酒を販売する業者にとってターゲット層が子供ではないのは明らかです。子供は誤飲することはあっても売上の要因として何かしらのプラスの影響を与えると判断する経営者はいないでしょう。
また缶のロゴは似ていてもMILOではなくSTOUTと書かれている点について、読めばわかるのはビールについて理解がある人だけだと思います。
スタウトというのはビアスタイルの一種であり、知っている人からすればパッケージを見るだけでビールの中でも麦芽の焙煎度の高い麦芽を使用した上面発酵のビールであることが分かります。
またそんなこと知らなくても一度スタウトを飲んでみてビールのスタイルについて説明を受けた人であれば、度数の高い黒いビールという漠然とした認識をもってこの缶を観察することができるでしょう。
しかし、それ以外の人にとってみればスタウトという言葉について知らないわけで、それ以外にぱっと見でこの缶の内容物がアルコール入りの飲料かどうか判断できる表記は他にないようにも見受けられます。
アルコールであることがわかる表記がないのは海外の飲み物ではよくあることだと思いますが、そうした場合購入する立場の人が注意して購入する必要があり、またその後も管理することを要求されている、という裏返しでもあります。つまり、そこにはお互いの歩み寄りが必要な部分が残されていると考えることもできるでしょう。
オーストラリアでのお酒への表記義務
※下記は参考ニュース内でブルワリー担当者が発言した”未成年者飲酒を防ぐための予防策”について気になって調べてみた内容になります。個人的には調べきれてないだけなような気がしていますので、他にご存じの方いらっしゃいましたらお教えいただけますと幸いです。
オーストラリアにおいては、お酒には必ずスタンダードドリンクスという独特な度数表記をする必要があるようです。計算方法は下記の通り、
StandardDrinks = 容量(L)*アルコール度数(%)* 0.789(係数)
この計算式で求められた数値はその容器1本あたりの値で飲酒による健康被害防止のため男性は1日4以下、女性は2以下を目安に飲むように推奨されています。この表記は正常な飲酒量の目安を示すための表記であり、未成年に対する注意喚起という目的は含まれないでしょう。
また、その他の表記として特に若者の間で蔓延しているビンジ・ドリンキング(酩酊に至る飲酒、深酒、暴飲、ドカ飲み)への対策として表記義務を要請したりお店での提供の仕方などよくよく検討されているようです。しかしながら、こちらもお酒を飲む人に対する注意喚起なので未成年のための表記ではないことが分かります。
そもそもオーストラリアでお酒の販売は酒屋に限り、また購入時にはIDで認証を行うという徹底っぷりです。つまりスーパーやコンビニではお酒は販売できず、子供が間違って購入するなんてことはまずありえないという点で日本と大きな違いがあります。そういう意味では、間違えて購入しないように、という誤認への懸念に対する表記義務がないのは納得できました。(日本ではこれでもかとお酒である事を表示していますからね。。。)
それでは、今回のケースにおいてガイドライン違反とはどういうものだったのか。
一つに酒類広告規約団体の見解として、『未成年者に強く、または明らかなアピールを行ってはならない』という判断があったとされています。
また、州の賭博・酒類規制委員会の見解として、『酒類の広告・宣伝は未成年者の飲酒を助長してはならない』という判断がありました。
この判断には販売時、という文言はありません。つまり、店の冷蔵庫にあろうが、家の冷蔵庫にあろうがパッケージの表記はアピールであり、未成年者の飲酒助長につながる、という判断がされたことになります。
また、未成年者の酒類の購入を予防する策は確認できましたが ”未成年者飲酒を防ぐための予防策” は見つけることができませんでした。
日本でのビールの表記義務
日本においての表記義務に関しては、以前も説明したと思いますので省略します。気になる方は下記URLより参照してください。
表記義務:https://www.brewers.or.jp/tips/can.html
ビール酒造組合に参画している5大ビールメーカーはこの表記を守っていることでしょう。でもそれ以外のビール新規参画メーカーは組合が定めた規定を守ってないところもありそうですよね。ここら辺、誤飲したという苦情があった場合、社会はどのように動くんでしょうか。
極端な例を出すと国内のビール表記は会社規模の大小関係なく統一されて、表記を守っていないお酒(海外ものなど)はスーパー、コンビニに置けず酒屋に追いやられるかもしれません。そうすると近年参画したブルワリーが提供するおいしそうなビールのラベル表記も刷新することを余儀なくされて、ラベルによる差別化は難しくなるでしょう。
アダルトな本がコンビニで売られなくなったように売ることのできる場所の制限は社会の声の大きさで決まってしまいます。オーストラリアの問題は対岸の火事ではなく ラベル表記に関して今後日本でクラフトビールが普及するために課題になるかもしれないと思っています。
ただ決して組合が出してるビール表記に統一すべきだと言っているわけではありません。以前にも言いましたが今のビール表記は保守的で購買意欲やマーケティングという観点で検討の余地は残されています。
ここら辺、全国地ビール醸造者協議会の見解を聞いてみたいですね。HPを見てみたんですが、表記に関する規定は見つけることができませんでした。オーストラリアでミロ似のパッケージが問題になったように、日本で有名なソフトドリンクのパッケージに似せたラベルで商品を販売するブルワリーが出ないとは言い切れませんので、まずはクラフトビールとしての統一表記を作る、ということがこれからクラフトビールの販売領域を確保するためには必要なんじゃないか、というのが私の意見です。(すでにコーラっぽいカラーリングのラベルで出してたりしますので、気になっています。)
終わりに
ここまでビールの表記について記載してきました。あまり良いことは言えてないかもしれませんが、相手に依存したつくりから生じた問題や認識の齟齬を放置したままにして発生した問題は時として両者にとって不都合な結果に落ち着くということがありますから、先手を打つことは大事かなと思って書いているところがあります。
また中身のおいしさや外見の派手さにこだわるだけが普及のための唯一の手ではありません。誰もが安心して手に取れるビールの在り方について考えることもスムーズな普及のために必要だったりするのかなと思います。今日のところは以上です。それでは。