ビール缶の作りを見てみよう

2021年11月12日、寝起きに昨日飲んだビール缶をじっと眺めているJIMです。
ここだけを読むとなんだかヤバい奴だと思われるかもしれません。しかし最近いろいろな事業者が出している缶ビールを飲んでいく中で気になっている部分があるのです。それは缶の上部、いわゆる”缶フタ”と呼ばれる部分についてです。
各社の缶フタを並べてみると、サイズ感がどうも違うことに気が付きます。実際に定規で図ってみたところ、大まかですが6.3センチ、6.5センチ、とサイズに違いがあることが見て取れます。これは製造工程で指定しているものなんだろうか、と疑問がわきました。

確かにビールのオリジナルグラスというものはそのビールの特色をしっかりとつかんだ形を採用していることが多いです。
例えば、パイントグラス、ヴァイツェングラスなんかがありますね。
でもまさかアルミ缶に対してこだわりを持っているわけでもなかろう、というのが私の考えでありそれではアルミ缶製造の歴史を紐解いていった方が解決に近づくのでは、と考え至りました。
というわけで、今回はアルミ缶がどのように作られているか、またどうして缶フタのサイズに違いがあるのかをまとめていきたいと思います。

<目次>

  1. アルミ缶の缶フタサイズの謎 ~各種類の登場年と特徴の説明~
  2. 缶の軽量化に関する動向
  3. アルミニウムとリサイクル利用
  4. 最後に

アルミ缶の缶フタサイズの謎  ~各種類の登場年と特徴の説明~

結論から申しますと、アルミ缶の缶フタのサイズ、その直径はより小さくできるよう年々製品改良がおこなわれています。1970年ごろは209号(6.98センチ)、そこから1985年に206口径(6.47センチ)が登場しました。
206口径の特徴として挙げられるのが缶胴上部のなみなみと飲み口です。
ビール商品で言えば、例えばCOEDOブルワリーの毬花なんかはこのタイプの缶だったと記憶しています。飲み口の切り込み(スコア加工)も細くしゅっとした形をしていて小さいころよく飲んでいた缶ジュースを思い起こさせますね。

時は更に10年ほど経過した1994年、続いて登場したのが204口径(6.225センチ)の缶です。現在大手ビール会社が販売している缶の構造はこれが一番多いと思われます。

もともとキリンビールが204口径の缶構造を採用してビール業界をリードしほかの会社もその動きに合わせて導入していった、という経緯があるようです。
この缶フタの構造になってからの特徴としては、206口径で紹介した缶上部のなみなみがなくなりすっきりとした見た目になりました。また缶フタが小さくなったことを考慮して飲み口の部分(スコア加工)を大きく広がった形に変更しています。

基本的にグラスに注いで飲む習慣があるのであまり飲み口にこだわりはありませんが、口が広い方がよく出てくるのでいいなと思います。
缶から直接飲む方にとっては一気に口の中に押し寄せるキン!と冷たい液体を喉の奥に流し込むことができる、よい作りなんだろうなと思います。この形が受け入れられて普及したのも分かる気がしますね。

缶の軽量化の動向

そもそもですが、こういった製品改良の目的は缶の軽量化です。軽量化のための改良としてほかに缶胴を薄くするなどあり、上記のサイズ変更などを経て現在では1缶あたりおおよそ15グラムになっています。1970年台に登場した209口径の缶は一つ20.5グラム近くあったようなので5.5グラムの減、すごい企業努力ですね!

最近のニュースで確認したアルミ缶軽量化の動向を以下に記載します。
見かけたものとして、2021年8月31日のアサヒビールHPにて202口径の新しい缶を開発したとありました。
もともと3.1gほどあった缶フタ(204口径)のグラム数を2割減の2.5gにしたとのことでさらなる軽量化、また二酸化炭素排出量の削減を目的としています。現在北海道内でテスト販売しているそうで早く見てみたいなあと思うところです。
アサヒリリースニュース(2021/8/31)
URL:https://www.asahibeer.co.jp/news/2021/0831.html

このほかにもいろいろなところで軽量化に向けて日々情報を更新していることがわかりました。
先ほどのアサヒの記事で登場していた東洋製罐株式会社が発表した情報として次世代環境配慮型飲料缶の開発というものがあります。
東洋製罐グループ 極限軽量缶への挑戦
URL:https://tokyopack2021.tskg-hd.com/cbr/


調べてみると今年度だけでもいろいろな情報がありますのでその部分にフォーカスして調べてみても面白そうです。

アルミニウムとリサイクル利用

ここまで述べてきた企業の努力により、缶は軽量化され、輸送時のコストを下げたり、ユーザにとって持ち運びの楽な商品が出来上がっているのだな、と納得しました。
また飲み終わった後の缶はつぶしやすくリサイクル時にかさばらない、というのも軽量化の恩恵を受けている一つなんじゃないかなと思います。
実はアルミ缶のリサイクル率についても調べがあって、日本でのアルミ缶のリサイクル率はなんと97.9%なんだそうです。というのも、リサイクル回収したアルミ缶があれば原料のボーキサイトからアルミ缶を作る電力の3%の量で缶を再度製造できるからなんだとか。これはすごい!

現在日本で製造されるアルミ缶は215億缶(2020年調べ)なのでそのうち210億缶分はリサイクルに回っていることになります。この回収率を達成するための取り組みも素敵だなと感じますし、企業側もリサイクルの利用により使用電力を大幅に抑えられるためアルミの利用は缶にとどまらず、現在では新幹線や地下鉄の部品にもアルミニウムが使用されています。
サステナブルな社会の実現において、アルミニウムの利活用は今後も注目ですね!

アルミニウムの利用例と可能性を紹介しているサイトがありますので以下に記載しておきます。
日本アルミニウム協会:https://www.aluminum.or.jp/index.php
刊行物のご案内_アルミエージ バックナンバーより
           

最後に

普段飲んでいるビール、中身にばかり目が行きがちですが家飲みを支える缶の存在の大事さを再確認できました。
最後に本内容を書くにあたって参考にさせていただいた企業サイトを以下に記載します。

昭和アルミニウム缶株式会社HP:http://www.showacan.co.jp/index.html
日本アルミニウム協会:https://www.aluminum.or.jp/index.php
           アルミエージ No,184 5ページ

以上になります。
それでは、GOOD DRINKING! FOR GOOD LIFE! 笑

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です