副原料に果物を使ったビールについて考えてみよう
2022/2/14(月) 最近フルーツビールについて考えているJIMです。
以前、ゆずを使ったビールについてブログに書いたことがありました。
あの時は単にフルーツビールはうまいぞ!という感想を思いのままにブログにしたためましたが、あの後からフルーツビールのつくりはどうやっているんだ?と思ったり、そもそもフルーツビールとはスタイルなのか、と疑問に思いまして少し調べてみたのでそのことを書いていきたいと思います。
注意:個人的に見聞きしたもの、また手元にある数冊の本から個人的な見解を記載しています。
不快に思われる方もいらっしゃるかもしれません。ご指摘いただけましたら訂正致します。
フルーツビールってどんなビール?
副原料に果物を使ったビール、と聞いて皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。
例えば柑橘系の果物を使ったビールを思い出してみると、
・湘南ゴールド / サンクトガーレン(神奈川)
・みかんエール / ナギサビール(和歌山)
・九州CRAFT日向夏 / 宮崎ひでじビール(宮崎)
などがありますね。どれも単体でおいしくいただけて、かつ料理との組み合わせも良いという印象があります。
このように果物を使用したビールをフルーツビールと呼びます。
いろいろとフルーツビールを飲んでみて不思議に思うことはシロップのような味がして少し甘すぎるなぁと思うビールがあれば、
果物の苦みや渋み部分がビールとしっかりマッチしていておいしいなあと思うビールがあるところです。
これほど味の幅があるのはどうしてだろうと不思議になります。
そこで調べてみると想像していた通り作り方に違いがありました。以下まとめてみます。
①発酵前の麦汁に果汁などを入れるタイプ(1次発酵時に添加)
②発酵終了の手前や熟成期間に果肉や果汁を入れるタイプ(2時発酵時に添加)
③完成したビールに果肉や果物を漬けたシロップなどを入れるタイプ(完成後に添加)
先に述べました通り、味の主張具合でどのタイミングで果物やシロップを入れたか漠然と想像できますが、表記上明確な区分けはされていないように思います。
フルーツビールの製造法についてわかりやすく紹介しているサイトがありました。下記参照です。
URL:https://www.sanktgallenbrewery.com/fruit-beer/#unit-16233
果物を使用したビールのはじまり
果物を使用したビールの始まりについて話すとき、よく聞くのはベルギーで作られていたフルーツランビック、そこから派生したフランボワーズやクリークだと思います。
これについて述べていきますと、果物を入れた理由は果物に含まれる糖分を用いて発酵を促すこと、それから果物自体の味をビールに加えて飲みやすくするためと思います。
このような製法を取り入れた理由は、果物の甘味で野生酵母が出す酸味をやわらげるため、はたまた当時16世紀から17世紀にかけてクリーク(さくらんぼ)などの果物の栽培が各地でおこなわれていていたためと言われています。
栽培していたということは料理にもこれらの果物が使われていたでしょうからビールにも入れてみたというのはありそうですね。
また漬けた果物はどうしていたんでしょうか。実際に漬け込んだ後の果物を見たことがないんですがビールが腐敗していない限り浸かっている果物もまた腐りはしないでしょうからつけられた果物もまた食べられていたのでは?とも思います。
後半は完全に妄想ですが、前半に書いたような背景から果物を使用するビールが現れ、現代においてそれらはフルーツビールというスタイルでカテゴライズされているようです。
日本で作られる果物を使用したビールたちとフルーツビールの枠組み
※だいぶ偏った見解があります。あしからず。。。
始めの話に戻りますが、最近日本で作られているフルーツビールのタイプは①、③が多いのではないでしょうか。
その理由は、製造期間がそれほど変化しないためではないかと思います。
ベルギーで作られるビールのように二次発酵のタイミングで果物を投入する場合その漬け込みに数か月間を要しますし、味を安定させるのも大量供給するのも難しいのではと想像できます。これらの理由から②はあまりメジャーなタイプとはなりにくいでしょう。
一方で、フルーツを使っているのに別のスタイルなんだな、と思うビールもありますよね。
最近はフルーティさやジューシーさがおいしさの基準とされる風潮があり、いかにビールに違和感なく果汁を入れるかみたいなところがあるように思います。
具体的に言えば現在NEIPAといったスタイルでは果物を何かしらの方法で使用されていることが多いと思いますが、それらのビールはどんなに果物が使用されようとも結局のところNEIPAで売り出されていますよね。
そう考えるとフルーツビールかそうでないかの境はどこにあるのか、ますますわからなくなってきます。
ビールをデザインする段階でスタイルは決定されると思いますがその判断は醸造メーカーの主観により決定されるものなのでしょうか。
ここで意見を述べるのは早計だとは重々承知ですが、個人的に思うことは二つあります。
1.先ほど述べた①~③よりもっとまえに大きな前提条件を設定する必要があるのではないか。
(知らないだけですでにある可能性あり)
2.現在の枠組みでは①、③はフルーツビールの体系で定義できないため実はフルーツビールを名乗れるのは②のみなのではないか。
いろんな人の話を聞いてみたいな、と思うところです。
※(お断り)
CASKやバーレーワインのような二次発酵が工程に含まれるビールが不人気、と言っているわけではありません。
白ビールの一部にはビールで酵母入りのものがあります。自然と発酵することはありますがそれを目的にしているわけではないという理解です。
インフューズドビールはタイプ③に含まれると考えています。
ネーミングとしての”フルーツビール”とその優位性
※先ほどの章に引き続き個人的見解爆発です。笑
ここでこと日本におけるフルーツビールの在り方を見てみましょう。
日本で見かけるフルーツビールのひとつに各地の名産果物を使用してご当地ビールとして売り出されている商品があります。
このとき使用されるフルーツビールという言葉はスタイルを指しているのではないのでは?というのが私の意見です。
確かにフルーツを使っていて、フルールビールというスタイルにの枠組みに沿ったビールではあるんだけれども、それは実際のところ、”フルーツ”+”ビール”というみんなが知っている言葉同士をくっつけたワードを使用することで観光客がとっつきやすくすることを目的にネーミングによる戦略として使われていると言った方が適切ではないか、と言っているんです。
そしてそのままそれらが定着してしまって、ネーミングとスタイルが混同されていると考える方がすっきりする気がします。
そうすると日本でいう”フルーツビール”はスタイルという意味合いを超えている、とも考えることができます。
何を言いたいのかというと、実は日本では”なんちゃらIPA”というスタイル名で売るより、フルーツビールのようなネーミングをつけてあげて販売した方がより多くの人に受け入れられて結果的にクラフトビールも普及しやすいんじゃないか、そう思うわけです。笑
何の根拠もないですが、そうだったらいいな、なんて思います。優位性なんか出せません。(^^♪
最後に
最後に妄想小話を一つ。
***
”フルーツビール”を出しているお店で回りの客を見渡すと、端の席にカップルっぽい二人組。
片方がビール好きで自分が飲みたくてパートナーを連れてきたようで方やニコニコ、もう片方は少し緊張してるみたい。
緊張してる彼女は果実酒ならちょっぴり飲めるみたい。そこで目を付けたのはフルーツビール。
あまり知らないクラフトビールではあるけれど、フルーツを使ったビールなんでしょうと、少し緊張の糸を緩めることができたなら店内を見渡す余裕も出てきて談笑しながらそれが到着するのを待てるというもの。
ビールが到着したらメニューに記載の副原料のフルーツとベースのビアスタイル情報を横目に一口、ああ確かにジュースのような感覚ですっきり飲めるねと、今日からこの子もビールの虜、、、なんちゃって。
***
実際のところ、頼んだビールのスタイルはNEIPA(ジューシーIPA)だったりするんだけれど、そんな小難しいこと書かれたってわかんないわけで。分からないという気持ちからちゃんと飲めるか不安になったり、ビール好きな相手を困らせないよう余計に気を遣ったり。
ソワソワしながらビールを待つことになっちゃうと、せっかく楽しいビアパブの雰囲気だって味わえない。
だからそれは”フルーツビール”、それでいいんじゃないかって思うんですね。なんか身もふたもないこと言ってるかな。(/ω\)
今回は、フルーツビールについていろいろ思うことを書いていきました。
都内にインフューズドビールのお店があるとの情報をキャッチしたので蔓延防止措置が解除されて、コロナ感染のリスクが低くなったら飲みに行ってみたいと思います。
それでは、GOOD DRINKING!! FOR YOUR GOOD LIFE!!!(^^)/