麦酒倶楽部ポパイの37周年ビールを飲み”ウィートエール”を考える

2022/7/18(月)7月は天候がころころと変わり、梅雨なのか夏に入ったのかよくわかっていないJIMです。
皆様どのようにお過ごしでしょうか。

雨が少ないままに夏が到来してしまって水不足になりそうなんだそうです。それから今年は7年ぶりに節電の呼びかけがされています。
また、ガスも足りなくなるようで節ガスも呼びかけられるようです。これは困るんじゃないでしょうか。
節電に節水、熱中症対策と心がけることがたくさんです。皆様もこの夏はお気をつけください。

今回は6月の末に両国にある麦酒倶楽部ポパイさんで”アマリロウィート1.5″(アメリカンウィートエール)を飲みまして、
接客のお忙しいところ色々と質問させてもらったのでその時のことを書いていきます。

アマリロウィート1.5を飲んでみた!

こちらがアマリロウィート1.5

席に届いたビールは小麦のたんぱく質を含むためか、濁りのある明るい黄色でした。
アマリロの香りがアロマ、フレーバーから溢れ出ています。IBUは30と抑えめです。

美味しくいただいていたのですが、途中からいろんな疑問が湧き上がってきました。
どうしてウィートエールを選択したのか、何が1.5なのか、などなど。

そういうわけで他の席を見渡しているスタッフの方に質問してみたところ快く答えていただけました~(^^♪

ビールについて質問してみた

質問事項は下記の通りです。

①商品名の ”1.5” とはなにか?

②ラガー酵母を使用しているか?

③アマリロのみのシングルホップか?

それぞれの答えはこうでした。

(①の回答)
元々「アマリロ白」という商品があり、既存商品の1.5倍のホップを投入したのがこの商品だとのことでした。
また、IBUが30なのは設計の段階で決まっていたそうです。
きちんとは聞けてないですが苦みの程度はスタイルに準拠したからだと思います。

(②の回答)
エール酵母を使用。昔ラガー酵母で試したがうまくいかずエール酵母で落ち着いたらしいです。

そもそもウィート”エール”と言ってるのに何でラガー酵母なのかと聞いたかというと、私自身が飲んでいてふと香ばしい麦感を感じたからなんです。
それでアメリカンウィートエールというスタイルを調べるとスタイルの条件としてエール酵母に限定してなさそうだったので聞いてみました。

結果はエール酵母を使用しているとのことでした。
ラガー酵母っぽさ、エール酵母の味わい、それぞれ私が持っている見解について見直しが必要なようです(;^ω^)

(③の回答)
ホップは一種のみで製造し、大きなタンクにアマリロホップを3キロも使用しているとのことでした。
3キロ!すごいですね!。アロマホップとして名のあるアマリロですがこのビールはビタリングにも使っているそうです。
向き不向きはあっても使えないことはないんですね、勉強になりました。(^o^)

アメリカンウィートエールとはなにか

さてさて、質問②でも触れましたがこのアマリロウィート1.5というビールのスタイルはアメリカンウィートエールらしいです。
ではアメリカンウィートエールとは何か、よなよなの里というウェブサイトに記事がありました。
参考文献として載せておきます。
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記事タイトル:アメリカンウィートエールってどんなビール?
URL:https://yonasato.com/column/beerstyle_15
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この記事だけではアメリカンウィートエールたらしめる要因が何かを掴めなかったのでビアスタイルガイドラインも見てみました。
以下、クラフトビアアソシエーションのサイトになります。
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記事タイトル:ビアスタイル・ガイドライン1804
URL:http://beertaster.org/beerstyle/web1804/beerstyle_main1804_j.html
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上記の資料から、アメリカンウィートエールというスタイルは実際にはなく、ガイドライン上ではアメリカンスタイル・ウィートビール(エール酵母、ラガー酵母どちらも可)となっているんですね。
そして、背景的には1970年代ごろからアメリカで作られ始めた小麦を使用したビールであること、酵母入りか酵母なし、色合いが明るいものか暗めのもので分けられていることがわかりました。

また別の資料から確認したこととして、このスタイルの特徴は”エステル香”や”フェノール香”など酵母由来の香りが抑えられていることが挙げられるようです。ビールを飲んだ時に感じた「ラガー酵母なのか?」という疑問への回答ということになるのでしょうかね。(/ω\)

ここからは考察になりますが、ビアスタイルのガイドラインには酵母の指定は見当たりませんでした。
一方でビール酵母の種類を見ますと当然ですがそれぞれのビアスタイルに向いている酵母が存在していて、醸造時には種々の中から酵母を選択していることがうかがえます。
ドイツやベルギーで作られるような小麦を使ったビールに使われている酵母とアメリカンウィートエール向きとされる酵母は違っていました。
原料や酵母によって味わいが変わるでしょうから、既存の小麦ビールの枠に問わられない自由な醸造とそこから生まれたビールの多様性がアメリカンスタイルである所以なのだろうと思います。

ところでジャパニーズ・ウィートエールってないの?

この話題を出して最後にしたいと思います。私の所感です。あしからず。m(__)m

先ほどの章で、”アメリカンウィートエール”というビアスタイルは定義に存在しないという話をしました。
つまりこの言葉は総称として使用されていることが分かります。

この言葉を使う効果はいろいろあると思いますが、個人的な見解として下記3点を挙げてみます。
①ヨーロッパ圏のトラディショナルな小麦ビールではないと伝える
②現代のクラフトビールのムーブメントに沿ったビールであることを印象付ける
③ビアスタイルの改定が2年おきでありそのタイミングで変更されると困るので画一的なネームを採用している

こういった点を踏まえると日本で作られる小麦のビールにアメリカンウィートエールと銘打って売り出すメリットは大きいと思います。
ですがアメリカンウィートエールという言葉が生まれた背景を見てきて思うのは、日本で作られた小麦のビールなのだから”ジャパニーズ・ウィートエール”といって売り出しても文句は言われないんじゃないかということです。(売れるかどうかは別にして、ですね(‘ω’))


ここでまた一冊、手元にあるチャーリーパパジアンさんの書籍『自分でビールを造る本』の三章”世界のビアスタイル”から小麦ビールの欄を見て思うことがありました。アメリカンウィートビアについての記載の中でヨーロッパの小麦ビールとの差、また元来ヨーロッパの小麦ビール特徴として、特殊なイーストやその他の菌がビールにどのように作用しているかが決め手であることが記載されてあります。

とすると、日本的な酵母やその他醸造に影響するもの(酵素など)を使用して醸造された小麦のビールであればジャパニーズスタイルと言ってもよさそうですよね。そういう視点でウィートエールを見るとこれまでに売り出されたウィートエールには”日本っぽさ”のあるものがいくつかありましたので紹介します。
【日本っぽさのあるウィートエールたち】
・秋田あくらビール さくら酵母ウィート(さくら酵母を使用)
・信州浪漫ビール ウィートエール (信州の温泉水を使用)
・月夜野クラフトビール ロマンの里のヴァイツェン(うどん用の小麦を使用)
・麦雑穀工房 雑穀ヴァイツェン(小麦のほかにキビやアワを使用)

※ビアスタイルガイドラインを見ると、南ドイツ発祥のヴァイツェンなどエール系のビールはヘフェヴァイツェンを除きウィートビールとして定義されてありました。日本で作られているヴァイツェンもウィートエールとして数えています。
※いわゆる”ホワイト”と称されるコリアンダーシードやオレンジピールを使用したベルジャンスタイルのエールは対象に含めませんでした。
※強いこだわりを持ってビアスタイルを決定しているブルワリーさんもいると思います。不快に思われた場合は削除しますのでコメントにてご連絡ください。

上記のようなビールたちがスタイル上で再定義される日が来るのでしょうか。
そうなったらおもしろいなと思います。(^^)/

最後に

今回はウィートエールについて書いていきました。
ブルワーさんへの質問の仕方について、今回は唐突に私視点のきき方をしてしまったなあと反省がありましたね。
どういった聞き方であれば応えやすいのかを知れたらいいなと思っています。(^^)/

また、今回の記事は当初アマリロホップと小麦麦芽の”組み合わせ”をきっかけに、ホップと麦芽の相性について書いていこうと思っていました。
ですがなかなか文献に当たることができず、ちょこちょこ調べ物をしていたら気が付けば半月経ってしまいました。
最初の思惑から少し外れてしまいましたが”日本発信のビアスタイル”に着地。よく聞く言葉に無理やりこじつけた感がありますかね。笑
ホップと麦芽の相性についてはきちんとまとめてまた別のところでお話できたらいいなと思います。

それでは!Good Drinking!!For YOUR Good Life!!!(‘ω’)

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